日本理科学工業㈱ 美唄工場を見学しました。
8月18日、職員全体研修会を行いました。
今回は、障がい者雇用の現場を実際に見るという企画のもと、『日本理化学工業株式会社』の美唄工場を訪問しました。
多数の知的障がい者を雇用し、チョーク製造において業界トップシェアを確立してきた日本理化学工業。
高品質な商品製造と障がい者雇用の両立を今日まで続けてこられた背景には、どのような仕組みづくりと工夫があるのか。
また、共に働く健常者社員の想いは。
大変貴重な、刺激を受ける時間となりました。
一人ひとりの能力を、最大限発揮してもらうために
西川工場長に工場をご案内いただきました。
チョークの製造ラインに就くのは、ほぼ100%、障がいのある社員です。
業界トップの生産力を、障がいのある社員が担っているということです。
工程ごとに細分化された作業、担当する人の感性を活かした人員配置により、とてつもない効率化と正確さを実現していました。
我々見学者一行は、その光景の凄さに圧倒されるばかりでした。
西川工場長のお話によると、この整然と構築された製造ラインを創り出す上で重要だったのは、「愛情」と「関心」だったと言います。
過剰に優しく接するという意味ではありません。
文字盤の時計を読めなくても、砂時計なら時間間隔がつかめる。
材料の計量ができるように、色分けしたバケツと分銅を考案する。
これらは福祉の専門職員ではなく、同じ会社で働く健常の職員が、知的障がい者の社員と接する中で見出したアイディアです。
「どんなことにも関心を寄せ、愛情をもって接していると、彼らの理解力に合わせた工夫が思いつく訳です。
その工夫が上手くいけば、彼らは健常者以上の力を発揮します。私たちはその力が欲しいから雇用しています。」
西川工場長のお話で印象的だった部分です。
私たちも、支援の最初は相手を知ろうとするところからスタートします。
得意なこと苦手なこと、考え方、感じ方、色々なことを共有し、どんなお手伝いができるかを考えます。
これは「愛情」と「関心」のお話に似ていると思いました。
支援と雇用の違いとは
愛情と関心度の高さで、誰にでも働きやすい環境を築いてきた、というお話を受けて、知れば知るほど思うことがあります。
障がい者雇用の実際と、福祉サービスの中の就労支援という言葉の間に、実践の性質上、決定的な違いはあるのだろうかと。
見学した工場の中では、重度の知的障がい者でも、会社の重要な労働の担い手となり、経営を支える大事な人材となっていました。
自分の能力が上手く発揮できなくて仕事に困難が生じるのは、障がいがあっても無くても、誰でも同じです。
手厚いサポートがなくても、チョークを作り続けられる。その環境づくりがあれば多様な人が働けることを、今回の研修で理解することが出来ました。
働くことでしか得られないもの
見学後、私たちはグループワークを行い、それぞれが感じたことを共有しました。
障がいのある方々と共に活動している私たちですが、
「利用者さん達に就労支援を活用して何を獲得してもらえるのか」
「利用者さん達にとって働く意味はどんなことだろう」
「できないところばかり見てしまい、できるようになるにはどうしたらいいか、と考え方が180度変わった」
「幸せを感じてもらえるような働き方をしてもらいたい」
と、普段は見過ごされるところに、意識が向きました。
最後に
人の役に立つこと、自分の力が認められ褒められること、必要とされること、愛されること、働き手がこれらを実感できる会社であることを、日本理化学工業はビジョンとしています。
令和になり、ダイバーシティ・インクルージョンの理念が広まってきた今の社会では、どんな立場であっても就労に参画する機会を持つことは当然の権利となりました。
当社の理念『障がいや難病など、様々な困難を抱える人がのある方が、自分らしく挑戦する生き方ができる環境を創っていく』
福祉支援を専門とする私たちこそ、障がいがある方たちにとっての働く場について、考え続け、社会に発信していく使命がある、と強く思わせる研修でした。
西川工場長、職員の皆様には、お盆明けの大変お忙しいところお時間を割いて研修機会を作ってくださいました。心より御礼申し上げます。
報告:就労課課長 小林