今回より、「人が財」と題して、弊社のスタッフ紹介のコーナーを設けてみました。
創業の時、障がいがあってもなくても、同じ「人」として、地域の財になれるように、挑戦する機会を創ろう!と思いジューヴルは出来ました。
福祉では人に寄り添い、販売では人をもてなし、弊社の仕事は単なるマンパワーではなく、個々の「心」が仕事を成り立たせていると言っても過言ではありません。
経済的危機が世を襲う昨今で、当社が8年目に入れたことは、ほかならぬ「心」の力と思っています。
そのスタッフ達の活躍を知っていただけたら幸いです。
就労継続支援B型 サービス管理責任者 小林舞子
サービス管理責任者とは、概ね5年以上の福祉支援経験があり、事業所に必ず配置しなければならない重要な役割です。
利用者さんの「個別支援計画」といって、個々の目標に向かって、どのように支援していくかを計画立てて行きます。
一人一人と面談し、丁寧に思いをくみ取っていく時間が必要で、向き合うための「心」が必要です。
Profile
出身地:夕張市
卒業校:夕張高校、北星学園大学社会福祉学部
これまでの職歴、経験年数:
・大学卒業後、岩見沢市内の就労継続支援B型事業所に4年半ほど勤務
・2018年 株式会社ジューヴルpatisserie空香に就職(就労支援の経験は10年目になりました。)
資格:精神保健福祉士、社会福祉士、手話もできます
好きな物、事:映画鑑賞 美術館に行く
一言で言うと、自分は:空想家(?)
Q.大学で福祉の勉強をしたいと思った理由は?福祉に関わろうとした原体験はありますか?
小林:高校の時の進路担当の先生が「福祉系の大学に行ってちゃんと勉強したら」と言ってくれたことがきっかけで福祉を専攻しました。
当時、クラスの中には家庭で複雑な事情を抱えている人、体が弱く鬱症状を抱えている人、仲間意識のすれ違いでぶつかり合う人たちもいて、学生特有のカーストっぽい空気も味わいながら、煩雑化する人間関係の中に身を置いていた実感があります。
私にとって学校は、人が持つ感情や心の動きを見つめ、交流や葛藤を共にする、そんな場所でした。
そんな感じで、学校に居ながら学業から外れたところに精神力を費やす私でしたが、だからなのか、先生が「あなたの関心はきっと福祉の分野のなかにある」と導いてくれました。そのおかげで今の仕事ができていると思います。
Q.大学で福祉を学びつつ、様々な進路がある中で、やっぱり福祉支援を選んだ理由は?
小林:就活が始まると、学部の友人の中には「福祉を勉強してみて自分には向いていないとわかった」と大手企業から内定をもらう人もいましたが、私はその逆で、企業が自分に向いていると思えませんでした。
とはいえ、福祉の道が向いている、ソーシャルワークの科目が好きだ、なんて、当時はとても言えませんでした。
課題研究の取り組み具合や演習(ロールプレイ)の成績がよろしくなかったので、在学中は先生からお叱りを受けたり、友人たちとの差に焦ってばかりいました。
そのたびに自己嫌悪で余計にどうしたいのかわからなくなりましたが、自分の関心の範囲はソーシャルワークと関連を帯びていることだけは、自分の中で一貫していたのだと思います。頭の中で色々な迷いが生じても「もう少し勉強してみよう」と思える唯一の分野なのだと思います。
Q.福祉支援の中でも、精神障がい分野を選んだ理由は?
現場実習で、精神科デイケアに通われる方々と接する機会をいただいた経験が大きいです。
ある患者さんが、「私は鬱を発症してデイケアに通いながら復職を目指していますが、世間一般的な社会人生活を送れていないことに劣等感があって落ち込みます」と話していました。病気を発症したために、働けなくなり、薬や療養期間があったとしても、ご本人の「心」も回復していくかと言うとそうではない。医療以外にも、「心」の回復力を引き出すための専門性が求められていると実感した言葉でした。現実的には難しいこともご本人と共に考え、理解しようとする人になりたいと思ってこの分野に挑戦しました。
Q.これまでの仕事の中で、記憶に残る出来事はありますか?
小林:就職したばかりの頃、利用者さんから「小林さんは僕の嫌なことばかりさせる、ひどいよ!」と叫びながら言われたことを鮮明に覚えています。事業所全体にルール化されている掃除や出勤簿の記録を、その方は一人で行えなかったので私は常に確認するようにしていましたが、ご本人からすると、それがものすごく苦痛で仕方なかった。その思いに気づけなかったことをとても申し訳なく思いました。ではどういう方法を考えたらいいか、他の人にどうやって理解を求めたらいいか、この経験からたくさんのことを学びました。
Q.この仕事の辛い瞬間は?
小林:自分の想像力や解釈が追いつかず、思いがけないところで相手を傷つけたり負担をかけてしまうことがあります。仕方ない場合もありますが、私の言葉や態度の運用能力が不十分なために起きてしまう場合が多いです。後悔や反省の気持ちから抜け出せないことも多々あり、切り替えることに苦慮します。ちゃんと今後の経験として活かせるようにしたいです。
Q.逆に、面白い、充実、楽しい、と感じる瞬間は?
小林:毎日、接する方々から驚きや発見があり、自分の視界が広がる感覚があります。物の見かたの違いや感じ方の違いを味わうのって、素直におもしろいなと思います。これは、この仕事でなければ経験できないことだと思います。
Q.これから、どうなっていきたい?成し遂げたいことなど。
小林:利用者さんが当たり前のように地域生活を送れるよう、工賃を上げること。
そのために一人ひとりの力をとことん活かしてもらえる職場環境にすること。
Q.これから福祉を目指す人にメッセージを
小林:「福祉」とは、一見すると、思いやりとかやさしさの成分を多く含んでいる人が関与するものだと感じるかもしれませんが、実際はもっと単純だと思います。
言葉や文章に成り得ない感情、苦悶を共有する力は、目に見えないけど、誰にでも備わっている機能ではないでしょうか。
私はジューヴルで、一緒に働く多職種のスタッフを見てそう感じました。利用者さんのひたむきな姿を通じて、福祉を学んできていても、学んできていなくても、人の思いを共有する力が発揮されて、働いていて温かい空気を感じられることが、この仕事の魅力であり、他で得難い事だと思います。
さいごに
(インタビュアー:池添)最初の出会いは、小林が大学卒業をひかえ就職活動をしていた時でした。当時私が勤めていた福祉事業所に見学に来ましたね。直前に別の福祉施設を見学してきた彼女が「福祉施設では、利用者さんのことを○○ちゃんとか、あだ名で呼ぶんですか?それは普通の事ですか?」と聞いてきました。その時のことを今でも鮮明に覚えています。
私は、なんて当たり前の感覚を持った子だろう、と感動したのを覚えています。(意外に思うかもしれませんが、人として尊重した呼び方、接し方がなされていない業界の実態です)弱い立場の方たちを相手にする仕事ですから、自覚をしないと支援者側が優位に立ってしまいます。
相手を尊重し、同じ人間だと自覚するためには、相手をどう呼ぶか、とても大切な事です。私なんかは、大学出た時に、利用者さんに生意気な口をきいて怒られていましたから、雲泥の差を感じました(汗)この時の出会いで、人としての対等感が根本的に備わっている、いい人財になるな、と確信しました。出会いから10年ですが、穏やかな雰囲気とは逆に、「心」には熱くてぶれない想いがあり、泣いたり笑ったりしながら専門職として成長してきた姿を見てきました。(次は、製造課の伊藤です。お楽しみに♪)